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[花鳥レポート 2016年 秋号] 黄色信号点滅しだした不動産市況


〔日銀の方針〕
9月下旬の日銀の金融方針は、インフレ目標2%に向けて引き続きマイナス金利継続、長・短の金利差をつける方向、したがって不動産に対してのローン金利は低いところにとどまり、金利だけ見ると、購入者にとっても、不動産業者にとっても、都合のよい状況です。

〔首都圏の市況はどう?〕
8月の首都圏のマンション販売戸数は、前年同月比24.7%減。
9ヶ月連続の前年割。マンションの一戸あたりの平均価格も5662万円と3.6%下がっている。
東京23区は、前年同月比45.4%減。これに対して埼玉県93.5%増、千葉県35.4%増となった。月間契約率も66.8%で前年同月比7.7%減。東京23区にいたっては、60.8%だった。
すなわち、全体に新築販売は減少している。しかし売れ行きは、東京を中心に良くない。販売戸数しぼりこみ、低金利。これで何故悪いの?と思う方もいると思いますが、多くの購入予定者の手のとどきにくくなった価格になっている。金利だけ安くても、それだけでは将来的にも給料アップを強く予想しにくい今日、夫婦共稼ぎであっても購入を決断するには少し重すぎる価格と言う事ではないかと考えます。

中古マンション市況も、新築のマンションの天井感につられて価格の上昇が止まって来ております。新築も中古も2014年初め頃より値上がり傾向が強くなり、2015年初め頃より上昇ピッチが速まった。2016年はだんだん天井感が出て来た様な感じです。

〔マイナス金利政策で貸家に投資マネー流入〕
先日の新聞記事でも、新宿の中古販売の1Rマンション会社の不動産セミナーに120人の定員に200人以上応募。局所バブルの様相を示していると書いてありました。
株式投資やFX投資でもなかなかうまくいかない、安定家賃をえられる、実物の1Rマンション投資に走っている。銀行も融資先が少ないので、ケースによっては100%ローンも可。こんな状況でございます。

〔新築1Rマンションも3000万円の時代〕
今日も1Rマンション用地を求めて営業に来た用地担当者と話したのですが、希望エリアは、リニアの駅ができる品川や湾岸エリアの江東区などに力を入れている。一戸25uぐらいで3000万。ローン金利は変動の1.5%前後。客すじは若い医者、外資系勤務のサラリーマンなので、私が話を聞いて分析した利回りは3%〜3.5%。3000万円の代金を回収するのに30年は最低必要と考えました。土地の持分は、1〜2uですから、持分あっても解体費用程度にしかなりません。それでも、年金の不足分のサポートにしようと考えての投資の様です。すなわち「老後の生活の不安と景気変動に左右されない実物資産と安定収入の確保」が目的になっている様です。
私が社長の事を聞いたら、2007年創業、創業9年で社員80人、社長41歳。今、この様な案件に力を入れている不動産会社は40歳前後から50歳ぐらいの、平成のバブルを体験として知らない社長が多いような気がします。銀行にとっても、資金需要のある、ありがたい融資先であり、不動産会社としては、今売れているのだから「どんどん」進める。人気の落ちないエリアでやっているからだいじょうぶ…。とは言っても、私としましては、率直の所「どうなんです?ネー」と言う所が、正直の気持ちです。

〔私が心配な理由〕
今回は、スペースの関係で「空部屋リスク」や「需要の弱さ」や供給増加の話は省略しますが、直接的に感じている事は、不動産業者が、皆が「収益物件」の方に同じ目線で向いている、この現実なのです。
先日も、練馬区の業者のところへ立ち寄って話した折、以前は新築の戸建て住宅を中心にやっていましたが、今回は来年3月に完成予定で新築木造のアパートを進めている所だ。今後もこの方向でやっていく。新築戸建住宅は売れない、又、差し値交渉大きすぎ、売れてもあまり利益でない。この様な話は、都内いたるところの不動産業者が同じ様に進めている話ですし、当社は平成14年より、収益1棟売共同住宅行っていますが、最近は、皆同業が同じ方向をむいての商売を行い進んでいます。
また、毎日FAXで”中古アパート”買い取りますの不動産業者よりの広告が来ております。

この様な動きは、平成元年の創業以来ないことでございます。
したがって私は、大変危機感を持っております。
すなわち、これは”ブーム”であり、”ブーム”は早晩終わることを知っているからです。

この様な状況のなかで、平成14年より当社のメイン事業として進めて来た、新築一棟売共同住宅の集大成の建物として、有楽町「氷川台」駅に、本年12月中旬完成予定で、他社とは違う「氷川台五番館」、鉄骨3階建1K11戸を進めております。そこには、管理業務をとおして感じたお客様のニーズを入れてございます。”手ごろな賃料”だけど”グレードの高い設備”を主眼にしております。

秋晴のスッキリした天気が、まちどうしい今日このごろです。

平成28年9月28日
(有)花鳥<不動産>  代表取締役  齊藤 忠男
 

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