2016年|新年号春号夏号秋号緊急号


What's new

[花鳥レポート 2016年 夏号] 大きく変わる中古住宅取引


本年5月27日の参議院本会議で成立し、中古住宅取引時のインスペクションの説明義務化の2年以内の施行が決まった。実際は1年後ぐらいのスタートを業界としては予想しています。

〔インスペクション(建物検査)〕
改正の概要は、中古住宅の売買に際し、建物検査をした場合その結果の説明をする必要が発生する。その建物検査は、不動産業者が行うのではなく、建築士などの一定の技術資格保有者が行い建物の基礎や外壁の現況など調査し、書面にて渡す必要が発生します。

〔改正の背景〕
日本では、ながらく、新築住宅優位の政策を進めて来ました。
しかし、今後は、人口減少になり「空家」もクローズアップされて来ました。現在住宅流通市場では、日本の中古住宅の流通は約15%で、今後新築住宅の着工は減り中古住宅の流通をふやしていかなければ、豊かな住生活の実現をはかる事ができないと政府は考えております。

〔中古住宅の問題点〕
一般の方が、中古住宅を購入するときの不安は、
@雨漏
A構造的に、耐震上も問題ないか
B設備の老朽具合で、その後リフォーム費用がたくさんかかるのでは…。
等々の問題が考えられます。

売る側からしますと、新築と値段も違うし、設備だってそれなりに古くなっているのは、当然ではないか、との主張がございます。
又、日本特有の中古住宅の事情がございます。
@年々、色々な問題が発生し、新しいものほど建築基準がきびしくなって来ている、又、グレードが高くなってきている。
・例として、耐震に対する基準や、地盤調査の必要とそれに合わせた地盤補強工事が必須になった
・新しくなればなるほど、断熱性能が向上してきている
・設備も、次々と生活をよくする住設備ができて来ている
A昔の戸建は、台所とリビング別々や、畳の間があったりしたが、今は、広いLDKが求められている。
@やAの問題点から、日本においては、20年〜25年経過したら建物の価値が0になってしまう事が多くあります。

しかし、一部の方は、しっかり建物メンテナンスや、設備リニューアルされている方もいらっしゃるわけで、中古住宅と言ってもかなり、経過年数だけでは、わかりにくい所があるのが事実です。
新築住宅では、不動産業者の売主物件や工務店施工の物件はその会社が倒産しても、買主が困らぬ様に、保険加入義務化(平成21年)などがありましたが、中古住宅の流通には、その様なものが何もなかったわけです。

〔安心取引のための既存住宅売買瑕疵保険〕
不動産会社が売買の依頼を受けた場合、売主に物件検査をする?どう?と聞きます。検査をしなくても法律違反にはなりません。しかし、他の中古住宅が検査をしているのに、しないと言うのでは、買主の立場から考えると何か建物に問題でもあるの?だったら他を探そうという風になってしまいます。
検査をする場合は、専門の検査事業者にたのみます。費用は、4万〜10万円ぐらいです。戸建の場合、基礎、外壁、屋根裏、床下、雨漏、家のかたむき、です。特に戸建で問題になるのが基礎や外壁のクラック、雨のしみ跡、などです。

それらの部分が悪いと検査に通りません。検査で問題なければ検査会社が責任を持つために保険に入ります。費用は通常売主が負担します。
費用(保険)は、会社によって期間によって、保証の内容によって違ってきます。「白アリ損害特約」なども会社によってつける事が可能です。1年間の保険で、7万〜12万、5年間で10万〜20万が一つの目やすです。もし個人の方が売却した後のトラブルは保険によりかなりの部分がカバーできますし、買主の側も安心材料の1つになりますし、政府の考えている“住宅の量”から“質”への転換を目ざす事にもなります。

〔保険加入のメリット〕
政府も、いくつかの普及されるためのメリットを用意しています。
@住宅ローン減税の対象は、築20年以内の木造住宅又はマンションなどは、築25年以内のものと決まっておりましたがこの検査を受け合格して保険に入ったものは、木造20年以上マンション25年以上でも対象になります。
※ただし昭和56年6月1日以後建築のものに限ります。理由は、この年より建物の耐震基準が変わったためです。
A登記料や、銀行から借入金のための抵当権設定費用、不動産取得税の軽減措置の対象にもなってきます。

〔今後の自宅等のメンテナンス〕
日本人は、一度住宅購入したら長期で済む、このライフスタイルから自宅活用に変わってきます。売却して老人ホームに入る。又、自宅を担保にリバースモゲージ(生活資金等を融資を受け、死亡後売却して借入返済)。相続人が、貸家にする。いずれの場合も、しっかり自宅を定期的にメンテナンスして、「修繕履歴」を残し、中古住宅を買う方にも安心していただく。この様に大きな流れが出来つつあります。
当社のお客様には、このあたりを理解いただき、自宅等の資産価値をおとさない様にして下さい。

何か相談があれば、当社まで連絡下さい。

平成28年 7月
(有)花鳥<不動産>  代表取締役  齊藤 忠男
 

2016年|新年号春号夏号秋号緊急号


(有)花鳥不動産