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[花鳥レポート 2017年 夏号] 早めの対応が重要な借地(貸地)問題


若い頃は、自分自身はずっと健康で元気で生活し続けると思っていますし、年老いる事は遠い先の話と思っていましたが、現実問題として自分の両親の介護が必要になったり、親が認知症になって、同居の親族も精神的にも体力的にも困りはてる話は良く聞きますし、ましてや自分自身がだんだんそちらの方向に進んでいると思うと何か恐ろしい気がいたします。
 
厚生省関係の資料によりますと、2015年の65歳以上の推定の認知症患者の数は517万人、2025年は674万人、2040年は802万人と、年々増加していくとの予想数値も出ております。
 
現実的な話をしますと、もし父なり母なりが有料老人ホームに入居する場合を考えますと、入居金1千万〜2千万、月々25万の費用が必要になり、もし費用捻出のために、父にかわり定期預金を解約に行ったら、「銀行に何故本人がこないの?」と聞かれ、理由を説明すると「法的に本人以外の引き出しはできません」と言われて困った。

又、別のケースは、母1人なって同じく有料老人ホームに入所させるべく、子供達が話し合って母が住んでいた自宅を売却して、その費用にあてようと考えた。売却契約は、母の代理と言う事でしたが、母が認知症のため司法書士による本人の意思確認ができなくて、決済できなくなって困った。 こんなケースは、世の中に良くある事だと考えます。
もし、息子様が法定後見人になったとしても、自宅などの売却に関しては、裁判所の認可を受ける必要があります。当社も5年ほど前に、取り引きしたケースも同様でした。裁判所の自宅売却認可を受けるのは、約1ヶ月かかります。そもそも法定後見を裁判所に認められるまでに、約半年から1年ぐらいかかる様です。
 
【では、具体的には、何をどうしたら良い?私なりに考えているアドバイスをいたします。】
 ・夫婦間でも、どこの銀行に何の預金がある?
 ・どこの証券会社と取引していて、口座番号は何番?
 ・タンス預金があるとすれば、どこにしまってある?
 ・自宅なり、所有不動産の権利書等の書類は、どこにある?
 ・キャッシュカードの番号は何番?
 ・保険証書は、どこにある?

上記の様な事、意外と夫婦間でも知らないケースが多い様に感じます。
「お金の事は、家内にまかせてある」
「不動関係は、すべて主人がやっている」…etc

したがって、銀行預金はだんだん体力・知力がおとろえて来たら定期預金は解約して、普通預金にしてキャッシュカードで、パートナーがお金をおろせる様にしておくのは現実的な対応と考えます。
正しい方法は、しっかりしている内に本人と妻、又は子供と銀行に行って、「代理人届を提出」し金融機関の担当者の面接を受ける方法です。

【もし、父なりが認知症になったらどうしたら良い?】
成年後見制度とは「認知症、知的障害、精神障害」などによって物事を判断する能力が十分でない方のため、本人の権利を守る成年後見人等を選ぶことで、本人を法的に支援する制度です。
後見人の仕事は「身上監護(シンジョウカンゴ)」と「財産管理」の二つがあります。
もし、法定後見制度を利用する場合は、家庭裁判所が本人の判断能力の程度に応じて、本人を援助する者を選任しこの人に代理するなどの権限を与える事により本人を保護する目的です。
具体的には、法定後見制度を利用する手つづきは、まず、家庭裁判所提出用の医師による「成年後見用診断書」を作成してもらう。
その際は、親族間の話し合いは、とても重要です。親族関係図の提出も必要ですし、もし、長男が後見人になる事を、他の兄弟等が反対している場合は、少なくとも、同居している長男であっても「財産管理」は出来なくなり、他人の第3者(裁判所で選定)たとえば、司法書士、行政書士などがなります。
「身上監護」すなわち介護サービスの契約、診療契約、介護保険の認定申請、ケアプランの同意などは、近くの親族なる事も可能と考えられます。すなわち、後見人が二人いるケースです。

【では、何故法定後見制度は、いま1つ広まっていかないの?】
私が考えている理由をのべます(第3者に後見人になってもらう場合)。

(1) 本人は、認知症になっても、自分のお金や財産は、自分で使ったり、自分のすきにしたい。
(2) 第3者の他人(選任された司法書士など)に、自分の財産を知られたくない。又色々めんどうな書面・手続きが多い。
(3) 費用がかかる。財産の程度にもよりますが、月々の費用は、2〜3万かかります。その他に、裁判所が選んだ「後見監督人」(後見人が正しく、本人のための活動を行っている?お金等の管理は正しい?チェックする方)にも、費用が必要になります。
(4) 後見人は、本人の利益になる事以外の事は、出来ない。すなわち、子供や孫に贈与や援助ができなくなる。相続税の節税対策ができなくなる。

【では、もう少しいい方法はあるの?】
「任意後見制度」と言う方法もございます。
本人の将来の精神上の障害などで判断能力の低下に備えて判断能力の低下前に(元気で、シャキっとしている時に)、自分の後見人を決めておく制度であり裁判所でなく、公証人役場で公正証書を作成しておきます。その人が認知症になった時後見人の活動は、スタートできます。

そのメリットは
1.自分の考えを反映した後見人を選べる
2.しっかりした人間関係が後見人とできている場合は、相続対策も事前に進める事ができる。

具体的には、その第3者の後見人とは、元気な内から「見守りサービス」を契約しておく。又、身内などいない人は「死後の事務委任」契約、すなわち、葬儀のことなどを頼んでおく事もできます。

いずれにしても、費用はかかります。
生きて行く上で、この方法がベストと言うのはございません。
「遺言書」の作成も重要と考えます。又、子供達にも自分なりにきちっと生き方・考え方を伝えておく事も大事です。
一番いいのは、認知症等にならずポックリ行く事でしょうが、こればかりは…。

何か、相談がございましたら当社へ相談ください。
この方面の先生もおりますし、対応いたします。

平成29年 10月吉日 
(有)花鳥<不動産>  代表取締役  齊藤 忠男
 

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