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今の不動産市況は、今年の梅雨と同じ
スッキリしない日々が続いている

やっと7月の末になって梅雨あけが関東地方にも出される状況になってきた。
今年の不動産市況は「停滞」の状況が続いている。

【賃貸市況】
首都圏の居住用賃貸(最近情報6月)物件は、前年同月比10.8%減少し、7ヶ月連続のマイナスが続いている。
理由は@転勤が少なくなって来ている。
会社としても「働き方改革」の政府の方針もあるし、転勤させるためには、引越しの費用は会社もちになるし、経費の節約上からも、今は少なくなってきている。
A若い社会人も更新時期にあわせ、より良いお部屋への住みかえを考え、探す人が以前より少なくなっている。
引越し代のかなりのアップだけでなく、保証会社への加入義務付けなどの大手不動産会社の物件も多く、新しく借りる費用を考えると我慢する傾向。
結婚等の同居・新居の場合は別にして、住みかえが費用の面から少なくなっています。
当社でも、女性の入居者の退出は、結婚等の理由が殆どの実情です。

【中古マンション市況】
首都圏の中古マンションの状況は、ここに来て希望売出価格が「東京カンテイ」発表によりますと、6月の時点で下がって来ております。
東京エリアで見てみますと、前月比70u換算で、
首都圏:4898万円(2.1%安)
東京都23区:5459万円(1.5%安)
中古と言えども気軽に購入できる価格ではなくなっている事が現実です。歴史的な低金利と言えでも…。と言う所です。

私も不動産業界で30年やっておりますが、昔は年収の5倍が無理なくローン支払いをして行ける金額と言われていました。
今は新築マンションの価格は7.8倍。東京都に限れば13倍(東京カンテイ調査)。
これから消費税も10%になる。いくら大企業に勤めていると言っても、定年まで保証される時代ではない。おまけに妻と共同ローンで無理やりでなんとか決断して、買っている状況です。

【私の考え】
今回の参議院選挙では「住宅の高騰」の問題や「公共住宅のより一層の整備」の事は、ほとんど選挙の争点になってはいないし、この問題を提起していた野党もない。
30年前の「バブル時」は、「NHK」が4夜連続でこの問題を取り上げて「土地は誰の物?」とのテーマで「土地ころがし」の実体や、それに融資する銀行、又不動産業に対して強い問題提起がなされ、今考えればあの時を境にして不動産が下落して行った。
今回は30年前の「一億総不動産」の当時と違い、都心駅近の立地の住宅用地、マンション用地、商業用地が値上がりしている。

以前の旧バブル時は、中央線で言えば高尾を通り越し、相模湖〜上野原のエリアまで住宅を求めて人々は動いた。今は都心部だけである。
当時と違い誰もが住宅購入を検討しているのではなく、それなりの条件の整った、親から資金援助を受けられる層の方のみ動いております。

こんな時代こそ、公共用地の活用や公共住宅のより一層の充実が必要であり、求められていると考えます。
我々の商圏では、家族で住むためには最低15万円が家賃として必要です。若い方の実質手取りが減っている中では、電気・ガス・水道・電話等の必要費を含めた基本の居住費は18万前後になり、生活するのに一杯いっぱいの状況になり、消費も盛り上がらないのが東京の状況です。

「公共政策」としての「住居問題」に、政治なり世の中が向き合っていかなければ「格差」はますます広がり、アメリカの様に社会が分断され「階層化」が進行して、日本の強みの「分厚い中流」の社会、共通認識を持つ事の出来る、又他人を思いやる事の出来る社会が、このままの日本であれば、消えて行く可能性が大きい事を私は危惧しております。

健全な社会を維持するには、多少の不安や困り事はあっても、全体として生きて行く事に安心できる社会でないと、良い方向には行けないと考えます。


2019年 7月27日
(有)花鳥<不動産>  代表取締役  齊藤 忠男
 

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