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日本の不動産の本年のポイント

(1)東京都心部はますます立派になってゆく
私は豊島区池袋で不動産の会社を始めて30年以上になるが、昨年1年は特に豊島区池袋は変化があった様に思う。当社の入っているビルの2分ほどの所に、西武鉄道本社ビル「西武ダイヤゲート」が完成、20階建て、1フロアー640坪の大きさです。
豊島公会堂も建替えられ、劇場などの大小ホールがあり、これも完成。宝塚の公演もありました。
西口(東武側)にあった東京都芸術劇場もリニューアル・オープン。その前の広場も野外ステージになった。
旧豊島区役所跡地は、東京建物とサンケイビルの共同事業により、地上33階地下2階のハレザタワーとして建設中であり、今年夏頃完成予定です。

池袋の話はほんの一例ですが、新宿、渋谷、日本橋や東京湾岸エリア等々、次々と新しく変貌している。点の開発では無く、面の開発である。

ところが私の自宅がある所沢市は、池袋より西武池袋線で30〜40分の所にあるが、開発は所沢駅周辺だけです。駅周辺は高層マンション建設やショッピングエリアなどますます便利になり活気にあふれています。しかし駅前の点の開発です。
私の住んでいる所は所沢駅より3つ先の駅で、日本の高度成長期のベッドタウンとして伸びていった所であり、今やご近所の戸建ては定年退職した70〜80歳の夫婦が二人で住んでいる方が目につきます。
今、我が家より100m先で大手の不動産会社の建売住宅を販売していますが、完成してもまだ売却できずに(新築)土地40坪建物30坪で3480万円で売れず、100万円値下げして販売中です。
これは、我々の若い時の35年前より価格が安い値段です。
もしこれが東京だったら。…もしこの住宅が交通の利便性の高い西武池袋線の練馬駅10分以内でしたら1億以上の値段になると思います。

今後日本は出生数がますます減少して、昨年(令和元年)で86.4万人になってしまっており、地域間格差は大きくなると考えます。場所によっては相続に関して兄弟間で親の住んでいた家をおしつけ合う現象すらおこりえます。

(2)エリアによって自然災害の可能性が大きく違ってくる
いままで、台風、地震、津波、土砂くずれ、河川の氾濫に対し、自分の所は大丈夫とたかをくくっていた所があったと思います。ところが近年、温暖化により海水温度が上昇し、台風の強さが以前と比較てきないくらい強くなって来ております。それにともない風力や雨量もはんぱなものでなくなっております。
河川の氾濫は今や現実の問題となり、東京でも荒川が氾濫したら、江東区、墨田区、荒川区は多くの地域で水につかり、丸の内方面や地下鉄及び地下街は水没すると言われております。
北区赤羽あたりも氾濫場所によっては駅前は3mの水につかると言われております。

首都圏直下型地震についても、昨年12月にNHKが1週間連続で特集番組を放映しました。かなりのリアリティーで、何かこの件についてNHKは、政府より確度の高い情報を得てやってるの?と、本当に心配になりました。

今後の不動産の見方としては、これらの自然災害に対して自分のエリアはどうなの?自分の所有している不動産はどうなの?事が起これば無価値の不動産になってしまうかも知れない事も理解する必要がございます。
これから購入を考えている方は、このあたりの事も十分注意下さい。又、資産のポートフォリオとして不動産だけに固めてしまうのは危険と考えます。

(3)本年4月より民法改正があり大きく変わる
ここでは不動産の一部のことについてのみ紙面の関係で述べます。
売買契約においては、「瑕疵(カシ)」担保責任から「契約不適合」に変わる。すなわち、客観的な瑕疵があるかどうかよりも、契約の趣旨内容にあっているかどうかが重要になります。
「品質の不適合」と「数量の不適合」の二つが含まれる。
具体的な話をいたします。買主は三階建ての居住用の二世帯住宅を建築しようと考えて、土地の売買契約を結んだ。しかし、斜線制限などのため三階の一部が居室にはならず、収納スペース程度のものになる。買主は当初の目的は達成できず、契約不適合であると主張される可能性あり。

この様なトラブルを防ぐためには、買主は土地購入の目的と必要な居室や最低必要な延床面積を契約書に入れておく。売る方は不動産会社に買取ってもらい、責任はおわない様にする。又、買主は設計士の先生に売買以前より加わっていただき、目的を達成できない可能性がある場合は契約をしないで別の土地を探す。又、売主は別の買主をあせらず探す。
すなわち、契約書に何が書いてあり、内容はどう?が争った時には重要になります。
又、通常売主は中古の戸建てやマンションの売却の時は自分で知っていても買主に告げない事もあるかも知れません。
これは売買完了後大きなトラブル、場合によっては「心理的瑕疵」となり、その様なことを知っていたら買主は購入しなかった。したがって契約解除する。また損害賠償の問題に発展しトラブルになるケースも考えられます。
売主の側は、中古なんだから少しくらい悪い所があって当然と考えます。しかしその事と告知すべき事を告知しなかった事とは違うので、正直に「物件引渡し現状報告書」にきちっと売主が書いておく事、今後より一層重要と心して下さい。

「賃貸借契約」においては借主が家主に設備の不具合を通知して直さなければ賃借人みずからの修繕権が認められた事です。また居室についているエアコンが壊れ、10日後にエアコンを交換したとすると借主は賃料を減額請求できます。すなわち、いままでの家主だったら、夏場で電気屋さんに頼んでも手一杯でしょうがない状況だ。これで通ったと思います。悪意でやっていないと家主が主張しても、賃料を減額される時代になった事を理解ください。
すなわち、家主様はそれなりの年数が経過したものについては、入居前の募集時に交換するなりしておく必要があると言う事になります。すなわち時代は、消費者(借主)保護の時代になっておりますし、ここの所を理解して事を進める事が、トラブルを防ぐためにも重要と考えます。

最後に私が考えている重要な事を述べます。
今や"IT"の時代、ネット上で売買物件も賃貸物件も見られます。ネットを通じて契約(賃貸)も認められております。
日本のサービス業の生産性は、アメリカの半分だそうです。大手不動産会社の賃貸契約は書面を読むだけで終わると多くのお客様から聞いております。
私の考えは、この際色々話をして相手の事をより理解する様にし、コミュニケーションを取っておく。そして借主が、困ったら(通常困った時しか連絡はない)それなりに全力で対応する。この不動産会社の方は、一生懸命やってくれると相手が思えばトラブルは大きくなりにくいと考えます。したがっていくらITの時代でも人間は心で感ずる生き物であると考え、当社は生産性は上がらなくても、このあたりのポイントはしっかり進めてまいります。

皆様にとって、2020年が良い年になる事を心より祈念します。
2020年 1月吉日
(有)花鳥<不動産>  代表取締役  齊藤 忠男
 

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