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「コロナウィルス」と「リモート・ワーク」

最近はコロナウィルスの第二波と思われる感染者の増加が見られます。
7月17日は東京都293人、埼玉県51人、神奈川県43人。
先週は1週間で東京の感染者1162人。今週はこのペースで行けば1500人になりそうです。
5月18日の週は50人だった事を考えると、30倍に増加しています。
感染者は、20代・30代が70%と言うが、40代以上の各年代も増加しており、感染経路不明者が50%との事。
いつこのコロナの問題が終息するのか、先が見えない闘いが続いています。

第一波の時は、各企業は社員を「自宅待機」にさせ、「リモート・ワーク」にての自宅での勤務が一気に促進しました。
リモート・ワークにした方に聞いた所、
@リモート・ワークに向く人、向かない人がいる様だ
Aリモート・ワークは、会社に行っている時より能力の差がハッキリ出る

会社サイドとしては、会社の継続性を考えた時、今後の自然災害を含めて何があるかわからない時代に、リモート・ワークを進めるしかないと考えているようです。
それにリモート・ワークでそこそこ会社がやっていける事がわかった。
今後は借りている事務所の一部解約や、テレワークに対応した事務所のレイアウトの変更を考えている旨の話を仲間の経営者の方から聞きました。
特にIT関係の会社においては、自宅でのリモート・ワークがコロナ発生以後、常態化している様で、コロナが終息してもIT業界はかなりリモート・ワークが大きな比重をしめて続くと考えます。

【東京におけるリモート・ワークの問題点】
政府も東京都もコロナ感染防止の観点から、さかんに「リモート・ワーク」を推進しています。
リモート・ワークが何か特別良い働き方の様な論調ですが、私はいくつかの観点から問題を指摘したいと考えます。

@現在の東京圏の住宅事情は、一般的に言って「リモート・ワーク」を推進するにはあまりにも狭すぎる。
当社が管理している単身者用は、広さは20u前後で、お部屋の広さは6帖前後であり、リモート・ワークを想定した広さになっていない。
ファミリータイプも50u〜60uで生活スペースでいっぱいです。
先日の読売新聞の写真は、ユニットバス内でリモート・ワークをしている写真が載っていましたが、極端な例とは言え東京圏の住宅事情は居住する場であり、働くためのスペースは確保されていない現実がまず1つです。

A今回はコロナ問題と言う事で、当社及び不動産業界も「やむを得ない状況の中での事」との認識の元、自宅をリモート・ワークに使用していることを黙認しておりますが、契約上は「住居」としての契約であり、「事務所」でも「住居兼事務所」の契約でもないわけです。

B家族のいる方の「リモート・ワーク」では、小さな子供がさわぐので仕事に集中できない。妻もリモート・ワークでお互いイライラして夫婦仲が悪くなる。食事も3食作らねばならない。大変だ…。
夫婦でも、少し距離のある生活の方がお互いにとっても良い…などの声もある。

C仕事とそれ以外のオン・オフが難しいとの声もある。
会社に行く事によって日常生活もリズムもできるし、何より自然に運動になる。リモート・ワークで体重が増えてしまったなどはよく聞く話です。

【会社に仕事に行くとは何?】
自分の担当の業務を遂行するだけでなく、会社の仲間との何気ない会話の中にヒントがあったり、他の社員の様子を見て刺激を受けたり、目標にする上司や先輩がいたり、チームとなって仕事を成し遂げたりと、その場の空気の中に高いモチベーションが生まれてくる場所が会社と考えます。

【米国の場合】
日経新聞の7月16日の記事によれば、有名なシリコンバレーでは、IT企業間では無期限の在宅勤務が広がってきているとの事。
ただし、大多数の社員は「週に何日か働いて、ときに同僚に会うために出勤する」組み合わせを望んでいるとの事です。

又、リモートワークを進めた「ヤフー」「IBM」では、リモート・ワークのせいでイノベーションが枯渇したと言われて、リモート・ワークを禁止にする動きもある旨の記事も別の所に出ていた。
そこから読み取れるのは、「通常の業務」はある程度リモート・ワークでカバー出来ても、革新的な「創造」を生み出し、企業を新しいステージに進めるためには、会社と言う場は必要と考えます。
より優秀な人材が働きたくなるオフィース空間の重要性は今後増大すると考えます。
こんなオフィースで仲間と共に働きたいと思われない会社は、コロナ後であっても未来はないと考えます。

【東京圏のリモート・ワークの未来】
日本人は物事を判断するとき「良いか、悪い」の平面的論調が多い様に感じております。今の時代の風は、「リモート・ワーク」はワーク・ライフ・バランスの問題や、働く奥様方の「特効薬」の様な論調ですが、私は今の東京圏の住宅の現状では厳しいと考えます。それより、各私鉄の駅の高架下や駅近くの私鉄が持っている土地の有効活用により、「シェア・オフィース」「サテライト・オフィース」を増やす。そのために政府は補助金の支援や無利息の融資をはかり、進める必要があると考えます。
私鉄沿線の街の活性化にもつながるし、週何回かのこれらの場所への通勤は「家族とのつながりのための時間の増大」にもなりますし、新しい時代に合った働き方の一つなるかもと考えます。

私が考えるリモート・ワークは、家庭や個人に企業が押しつけ、事務経費や交通費の削減を目指すものでなく、個人や家庭や企業が共にハッピーになるための方策でなければならないと考えます。

コロナの問題は、まだまだ続きそうです。
今は政府がありったけの資金援助のカンフル注射をしているので、何とか景気も悪いなりに止まっていると考えます。
しかし、このカンフル注射も切れた頃、日本の経済は悪くなると考えております。いずれにしても今回のコロナウィルスによって世界も日本も変わり、たいへんな時代になっていくと考えます。
より一層、個人の能力と判断が問われる時代になると考えます。

梅雨空が続き、コロナでよけいスッキリしない日々です。
皆様の御健勝心よりお祈り申し上げます。

2020年(令和2年)7月19日
(有)花鳥<不動産>  代表取締役  齊藤 忠男
 

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