2019年|新年号春号


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動きが止まって来た不動産市況 
当面は、横ばいの弱い動き続く

(1)地価公示発表
国土交通省が、本年1月1日時点の全国2万6千地点の住宅地や商業地の地価の発表を、3月下旬に行なった。
それによると都内だけでなく、地方の一部土地も値上がりをしている状況だ。この主な要因は、年間3千万人の海外からの訪日客のための、ホテルや商業施設等の建設用地として見直されているためだ。
・今年の1位は、北海道ニセコ(パウダースノーの魅力)。エリア58%の上昇(商業地)
・大阪市中央区日本橋44%の上昇(商業地)
・住宅地の一番の上昇もスキー客用のホテル、コンドミニアム用地のニセコエリア50%上昇(住宅地)
・那覇市のおもろ町3町目30%上昇(住宅地)

【東京圏はどうかと言うと】
商業地4.7%上昇。住宅地は1.3%上昇。
東京の最高地点は、中央区銀座4丁目山野楽器銀座本店で坪で1億8876万円だ。
ただ、全国的にはと言うと、駅から遠いエリアの土地は引き続き下落が続いており、地方圏の調査地点の約半数はマイナスの状況である。
すなわち、上昇している土地は、俗に言う所のインバウンド客が来るエリア。又は、大都市の再開発が進む利便性、集客性の高いエリア。又はリニアの将来の開通を見こした名古屋のリニア駅周辺エリアの様な、事情のある所が上昇しており、それ以外は横ばいか、又は、下落が続いていると言うのが現状である。

(2)居住用新築マンション・戸建はどう?
一言で言うならば、価格は高どまり。取引は弱い状況です。
今年2月の首都圏の販売戸数は、前年同月比6.7%減の2323戸で1戸あたり約6200万円。月間契約率65%と弱い動きが続いております。
先日も練馬区の最寄り駅は、西武線練馬駅の新築マンションの立派なカラー広告が入って来ましたが「第1期、2期完売・・・」。その戸数を見ると何と2戸づつです。
何とか、好調な売行だと表明したい気持は、私も不動産業者ですからわかりますが、市況が弱すぎるのが本当の姿でございます。
新築戸建も、先月の2月には値下げの広告が、だいぶ業者向け配布広告に出ておりました。

(3)不動産融資に対する金融機関の動きはどう?
安倍首相が総理になり、日銀と組んで金融緩和を進めました。そのお金が、貸出先がない銀行の新たな融資先として個人・法人への不動産投資資金であったわけです。
地方銀行は、地元には貸出先が少ないため、東京支店までつくり「住宅ローンの強化」「一棟収益物件投資」に注力したわけでございます。

この様な状況の中「シェアハウス、一棟投資物件借上会社破綻」俗に言う「かぼちゃの馬車事件」は、スルガ銀行が不動産業者と組んだ、やりすぎの法令違反の問題融資であったわけですが、この事件発覚によって金融庁も一気に信用不安が広がらない様に指導調査に各銀行(地銀中心)に入る事になり、自己資金の少ないサラリーマン投資家や、初めて一棟アパート投資をしたい方への融資を一気にしめてしまい、上場企業又は、非上場の社員20~30人の投資専門会社は、たいへんな苦境におち入り一部は、損失覚悟の在庫圧縮に走っております。

今3月期は、まあ決算悪くない。したがって、この期中に決済して少しでも在庫をへらそうとの動きは、そこかしこでございました。当社にもメール等で物件紹介はよくまいりました。今月10月より消費税も10%になり、ますますまずくなる。今3月期売却できなければ、今年の9月末までに処分したいのが、買取りリフォーム転売業者等の本音と考えます。

(4)何がこの様な状況をつくりだすの?
一言で私の考えを述べれば「時代の風」と「違うプレイヤーが、又同じ事をしてしまう」ためと考えます。
先日も、ある勉強会に出て質問しました。
講演者は、元金融庁長官の五味廣文氏で平成の金融行政を振り返っての話でしたが、1985年のプラザ合意で円高容認した日本は、輸出中心の経済から国内の消費拡大の観点から金融をゆるめ、それが「株」と「不動産」バブルを産み育ててしまった。
特に「土地」は、「土地神話」があり、日本は国土が狭いし一時下がっても、又時間が経てば戻って来ると、銀行も大蔵省も国民も多くの人が信じていた。
しかし、時間の経過と共にこれは、日本の社会構造の変化を反映したものだと、やっと気づき、山一証券や日債銀の倒産や大手不動産会社の倒産につながった。
私流に言う所の「時代の風」と考えます。

いつの時代も、多くの人がやっていれば安心してしまう日本人。
銀行とて日本人が行員ですから、他行を見て同じ事をやってしまう。
スルガ銀行は社風として、強烈なノルマ主義の中では「まずい行為」と認識しつつも、徐々に「悪い事」「コンプライアンス違反」も、常態化してしまい、進んではいけない方向への銀行全体でブレーキなしで突っ込んでいってしまった結果だと考える。

そこには、平成バブルの反省もあまりない様に感じます。
それらの出来事の、うしろには、安倍総理はじめとする、日本のトップの人々の「デフレからの脱却」の大目標があり、プラザ合意の後の日本の状況と何か似ている気がします。ただしやっている人間(プレイヤー)は違うため、又同じ失敗をしてしまう。

私は、五味元長官に、もう少し時間の経過した時にスルガ銀行は「免許取り消し」「他銀行との合併」のシナリオ?と質問した時、元長官は「半年の業務停止」で処分は済んでいる。免許取り消しはないと発言した。
では、「スルガ担当の金融庁の役人は、本当に知らなかったの?」との質問に、知らなかったと思うと答えた。

しかし私は以前、別の金融庁の長官が「他行と差別化したビジネスモデル」と高く評価していたのをTVで見た事がある。金融庁の職員と言えど、長官の言っている事に異をとなえる事のできる腹のすわった人間がいるとも思えない。
私は、今回のスルガ銀行は、預金者を保護した上で免許取り消しにすべきと考える。
この程度の事が出来ない様であれば、日本の先々はまことに暗いと言わざるを得ない。

今年の桜は例年より早く咲きました。
あっという間の桜です。しかし桜は散り時を知っております。
日本人は先の大戦のやめ時も決められず、多くの犠牲を出し。今回も、時代の風に流されて、やはり一部ではあるが行きすぎてしまった。

30年不動産の会社をやって来て、不動産は、難しくもあり、恐ろしくもあり、又、力になってくれるものでもある。それが不動産だと思います。

2019年 3月28日
(有)花鳥<不動産>  代表取締役  齊藤 忠男
 

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