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[花鳥レポート 2017年 夏号] 早めの対応が重要な借地(貸地)問題


皆様の中には、戦前又は戦後より色々ないきさつがあり、貸地(地主様側よりの表現)、又は借地(借りている側よりの表現)をされている方もいらっしゃると思います。時代も変わり、代変わりして色々な問題が発生しているのも事実でございます。
 
(1)借地人様の側では、古くなった自宅を建替たいが承諾料はいくらぐらい?又相続人が借地を売却できる?など…。
 
(2)地主様の側では、貸地をしているが底地評価が高いため相続税を支払できる?又古い時代からのため契約書がない。※底地(そこち)とは、借地権の設定してある土地の地主の権利分のことです。
又、更新料の項目がない。したがって更新料の支払でトラブルになっている。大きな貸地を持っている地主様やその相続予定者にとって、人生の多くをこの問題解決のために時間を使ってしまっている。…等々の現実があります。
 
特にこの問題を複雑にしてしまったのは、戦前戦争に徴兵されお国のために戦い、帰ってきたら借地の権利がなくなっていたのでは兵隊さんも安心できないため、一層借地権を強い権利に国がしたため問題が複雑化してしまっております。

(3)地主の底地権は更地価格の40%が多いが、地主が底地を借地人以外の人に売却しようとしても、買取してくれる人は不動産業者ぐらいしかなく、その価格も更地価格の10%〜15%にしかならない。
 
(4)借地人にとっては自分の土地でないため、地代を毎月支払わなければならない。又建物の増改築や外壁のやり直しなど色々な場面で、地主様の了解をとらなければならない。
そもそも借地権とは「借地借家法」に基づく建物所有を目的とする賃借権をいいます。一時使用のプレハブづくりの選挙事務所などは対象外となります。

20年ぐらい前の話ですが、ある方が近所の方にたのまれてプレハブづくりで工場の作業場として土地を借りたい旨で、市販の「借地」の契約書を買って来て、双方記名押印したとの件で相談を受け、その中に「建物所有を目的とする」との一文があり、これは借地権が発生する可能性もあるので、双方の了解を取り「借地権が発生しない事を了解する」との文章を加えた事がございました。今はその工場も廃業され、更地にて返却いただきました。

(5)次に借地の一般的な費用の目やすを書きます。
  (A)地主様に支払う借地権譲渡の承諾料は?
    借地権の売買価格の10%です。
  (B)月々の地代の目やす?
    現在は東京23区平均は坪1000円前後です。
    したがって30坪の土地を借りていれば月額3万円前後です。
  (C)建物が古くなり建替する(新築 木造の場合)
    承諾料 更地価格の5%+α
  (D)建物が古くなり建替する(新築 堅固建物(鉄筋コンクリート)へ)
    承諾料 更地価格の7%〜10%
  (E)建物が古くなり建替する(新築 賃借併用堅固建物へ)
    承諾料 更地価格の10%〜12%

以上は目安でございます。

(6)御両親が住んでいた借地権付の自宅を長男が相続したが、必要ないので売却するケースを考えてみます。  (建物は築40年とする)
  このあたりは更地価格 坪100万で30坪の借地のケース
  借地権割合60%の場合
  ※100万×30坪×60%=1800万円

相続人は1800万円で売れると考えている方はまちがいです。

〇通常地代が必要で、各種承諾料が必要な借地は所有権と違いたいへんめんどうなものです。
〇売却にあたり相続人は、地主様に承諾や次の購入者の建替の許可の承諾料や、現在の建物の解体費の負担をしなければなりません。
〇地主様が売却の承諾いただけない場合は、弁護士にこの件を依頼する様になります。この費用も必要です。

又、借地の面積があやふやな場合は、地主様にお願いして測量していただく事も必要であり、時間もかかります。
したがって30坪の借地権の価格1800万としても、良くて手取りは半分の900万にはなってしまうわけです。
もし、建築基準法の2m以上の道路の接道義務無い場合は、隣接地の方等以外の方は、誰も購入してくれません。
したがって価値は0になります。

すなわち借地は、もともと他人のものを借りていたにすぎないわけです。
したがって、地主様との関係は、何が何でもよい関係にしておく必要があります。
又、地主より「底地」を買いません?の話が来たときは又とないチャンスで、少し高くでも買って所有権にしてください。

借地権は地代を支払って住んでいる分には特別困りませんし、不自由はないのですが「建替、更新、売却承諾」などの時、もめる原因になりますし、貸主・借主は将来を考え早めに1つ1つできる事から解決して行く必要があると考えます。
借地の問題は専門家を入れて時間をかけ、早めに解決する方向に進めて下さい。

暑さ厳しい折、皆々様の御健勝心よりお祈り申し上げます。

平成29年 7月22日 
(有)花鳥<不動産>  代表取締役  齊藤 忠男
 

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